レビュー 日野公三


感動の映画に出会いました!
『バベルの学校』を観ました。

アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国等々。
外国にルーツを持つ子どもたちがパリの中学校の適応教室で過ごします。
一年間のドキュメンタリーです。

テロリストに追われて命からがらパリに来た家族、
親の暴力を逃れて来た生徒、
アスペルガーの子をはじめ3人の子育てをするシングルマザー。
過酷な境遇の子たちです。

傾聴と洞察と承認、動機づけスキルのコーチングを行う慈悲深き女性教師。
どの生徒、家族からも慕われる。

別れの日の情景は、どの生徒も泣き、抱き合い、気丈な教師も泣く。
号泣するしかなかった...。

われらが明蓬館高校の生徒たちも思い浮かべました。
映画の中の生徒の中には、
やっとの思いで学校へ、教室へやってきている子がいます。
卒業後、家族の人生まで引き受けて、
過酷な人生が待ち受けている生徒がいます。
映画の中の24名の生徒たちを見ていて、
ひょっとすると、学問に専念できる高校生である《今このとき》が、
人生の中でもっとも幸せな時間かもしれない、生徒が、
いるかもしれない、と思い、役に立たないハンカチを握りしめていました。

作り物ではない本物の生徒たちを描く学校は、
生徒たちのつかの間の幸福なときを描いています。