映画『それでも僕は帰る』バセット 追憶 一斉上映企画(2019年8月)

 

映画『それでも僕は帰る 〜シリア 若者たちが求め続けたふるさと〜』に登場したサッカーのナショナルチーム元ユース代表ゴールキーパー、「シリア革命の首都」ホムスでその歌声から「革命のサヨナキドリ」とも呼ばれたアブドゥル・バセット・アルサルートが、ダルアー県フラーク市にて2019年6月7日の戦闘で重傷を負い、翌6月8日に死亡したと報じられました。反政権の立場で戦っていたバセットですが、活動当初は19歳、今年27歳の若者でした。

2019年3月時点で、在英NGOシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、シリア内戦での死者は37万人以上にのぼります。体制側、反体制側にかかわらず、子供たちやバセットのような若者を含む、1人1人の尊厳ある人間の、尊い人生があまりにも多く奪われました。バセットに追悼の意を表し、また、戦争の犠牲となった多くのシリアの方々に追悼の意を表し、「戦争は若者の未来を奪う」現実を映画を通して再認識するとともに、現在のシリアの状況、困難な状況下で生きるシリアの方々へ心を寄せるきっかけになるよう8月の1ヶ月間を 映画『それでも僕は帰る』バセット追憶上映の期間といたします。


《8月 映画『それでも僕は帰る』バセット追憶上映 》
上映期間:2019年8月1日~8月31日
◎1日ライセンス・・・最低保障料金15,000円(税別)

※ただし動員人数×500円(税別)が最低保障料金を上回る場合は、動員人数×500円(税別)
※1日毎に料金が発生します
※同日、同会場(同敷地内)であれば、1日の間で何度でも上映可能です。
※入場料(参加費)の有無に関わらず、動員人数で上映料金を精算します。

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●映画あらすじ
2011年に始まった「アラブの春」と呼ばれる民主化運動の波。その影響を受け、シリアでも2人の青年が立ち上がった。サッカーのユース代表チームでゴールキーパーとして活躍していた当時19歳の青年バセットは、そのカリスマ性から若者を惹きつけ、平和を訴えるシンガーとして民主化運動のリーダーになっていく。彼の友人で、有名な市民カメラマンである24歳のオサマは、デモの様子を撮影し、インターネットで公開することで、民主化運動を広げようとする。
バセットは歌で、オサマは映像で、それぞれ非暴力の抵抗運動を先導していたものの、2012年2月、政府軍の容赦ない攻撃によってホムスで170人もの市民が殺害されたのを機に、バセットと仲間たちは武器を持って戦い始める。彼らはなぜ戦い続けるのか、生きることとは、戦争とは、ふるさととは……。
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●映画背景
「シリア革命の首都」とも名付けられたシリア第3の都市ホムス。2011年8月〜2013年4月に撮影されたこの作品は、シリアの現状を伝えるだけでなく、現地の人々が感じた痛みや希望を追体験させます。ホムスでは、人々が苦難に見舞われながらも、デモをコンサートに変え、日々の笑いを撮影してアップロードし、市民ジャーナリズムの力で世界を揺るがしてきました。ホムスの人口は2011年時点で100万人弱。現在(*2013年9月製作のプレス資料(英語版)より)約15万人が比較的安全な体制側エリアに住んでいるとみられており、35万人が内部での移住を余儀なくされ、困難な状況にあります。また、残りの人々は国外に散り散りになり、大半の人々が隣国の難民キャンプの中、もしくは外で、人道的援助がまったく足りない極限的な状況で生活しています。2011年以来、少なくとも1万5000人がホムスで殺害され、そのうちの約10%は子どもたちでした。

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*2019年3月時点で、在英NGOシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、シリア内戦での死者は37万人以上にのぼる

●バセットの訃報に触れて  配給会社より
ユナイテッドピープルはあらゆる暴力に反対する姿勢です。本追悼上映企画は、バセットを反政権側の英雄とみなしたり、彼の死を殉教と讃えるのではなく、戦争という暴力によって未来を奪われた一人の若者の死を見つめながら、多くの命が失われているシリアへ関心を寄せるきっかけになればという思いで企画いたしました。

映画『それでも僕は帰る 〜シリア 若者たちが求め続けたふるさと〜』
配給会社:ユナイテッドピープル株式会社



●バセットの訃報に触れて 

一度武器を手にしたら、そう簡単には下ろせなくなること。
終わりの見えない暴力の応酬の世界で、人の目の輝きは失われていくこと。
奪われるほどに、失うほどに、”正義”の念をたぎらせるしかなくなること。
長期化するほどに複雑になり、膨大な数になるほどに、そのなかの「1」が見えなくなっていくこと…。

映画『それでも僕は帰る』は、そうした不変のメッセージを伝えてくれる映画だと思っています。

シリアで起きているような紛争は、これまでも世界の各地で繰り返されてきて、この先ももしかしたら、繰り返されるのかもしれない…。

5年前の公開から事態が良くなっていないシリアの現実とともに、いま一度、この作品を通じて、戦争や暴力というものを嚙み締める…それが、今まず「できること」なのではないかと思っています。

-ユナイテッドピープル・元取締役副社長 /
映画『それでも僕は帰る』公開時宣伝担当 アーヤ藍

▼バセットの訃報を受けてのメッセージ全文
https://note.mu/ai_ayah/n/nf084d623b71f


「彼らの足元に、地雷ではなくサッカーボールを。傷つき続けたその手に、武器ではなく花束を。そんな未来への願いを込めて、声をあげ続けたい。あらゆる理不尽に迫害される人々が、そこにいる限り。」

-フォトジャーナリスト 安田菜津紀


シリアの人たちの闘いはふたつの意味で今もまだ続いています。
ひとつは未だに一部地域で継続する爆撃や殺戮。これらは一刻も早く終わらせねばなりません。もうひとつは戦闘がなくなっても価格の高騰や経済制裁による困窮、また将来への希望を持てない人たちのメンタルへの影響、そしてシリア国内外で今も避難生活を送らざるを得ない人たちの苦境との闘いです。
この映画の再上映をきっかけに今一度シリアの過去を振り返りながら、闘いが続くシリアの市井の人たちの想いや境遇に少しでも触れる機会が増えればと思います。
バセットとこの紛争で亡くなった多くの人たちへの哀悼の意を表すると共に、残されたシリアの友人たちの一日もはやい安定を願って。

シリア支援団体サダーカ 代表 田村雅文

 

 

 

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