1月17日(土)に教育関係者および、教育や国際関係について学んでいる大学生を対象とした『バベルの学校』特別試写会を開催いたしました!
映画『バベルの学校』を鑑賞いただいたのち、「日本版・バベルの学校」ともいえるクラスで、海外にルーツを持つ子どもたちに、長年日本語を教えていらっしゃった善元幸夫先生によるトークがありました。
政府の統計によると、日本には現在200万人以上の外国人が暮らしています。善元先生は、この数字には表れない、不法滞在の人もいるため、実際にはより多くの人がいるだろうと言います。
また、うち3万人弱の子どもたちが日本語指導を必要としており、小学校ではそのうち9割程度、高校では7割程度の子どもたちが指導を受けられているという統計も出ています。これに対して善元先生は、学年があがるほどに、学校を辞めてしまう子どもたちが多い点が課題であると指摘しました。
その後、善元先生が教えていらっしゃった「新宿区大久保小学校日本語国際学級」の子どもたちを例に、移民の子どもたちが抱えている問題についての話がありました。
おやつを配ってとアフリカ出身の子どもに頼んだところ、「自分は手が汚いから」と、隣のフィリピンの子へ代わりに配るように言われたというエピソードや、子どもは日本語を上達していくものの、親はなかなか習得が難しく、「お母さんが近くにいると私が韓国人だとバレてしまうから、あっちにいって」と言う子どもがいたなど、差別や偏見の言葉を子どもたちが受けている事実や、親と子どもの間の“揺らぎ”についての話がありました。
その後、善元先生が編纂した絵本「ぼく、いいものいっぱい」を取り上げながらの話がありましたが、子どもたちが書いたそのままの文章から、移民の子どもたちが置かれている状況や、抱えている心理的葛藤などが伝わって来て、来場者の方も一層真剣に眺めていました。
最後に、善元先生から若者に向けて、「ぜひ外に出て、違う文化、世界を、自分の体で実感してください」というメッセージがあり、トークが締めくくられました。
試写会にご来場いただいたみなさんにアンケートをご協力いただきましたので、以下その結果を掲載いたします。
《感想》
・様々な事情から異国で暮らす子どもの心情・苦労がリアルに見られて良かった。
・自分の目で見て、多くを感じ、伝えることのできる人間になりたいと改めて思いました。
・一人一人を大切にする先生の姿に、本来あるべき教師の姿を感じました。
・学校とは他者を認め合いながら互いに成長して行く場であると感じた。
・「人と向き合う」ということの大切さを感じました。
・リアルな子供たちの悩みがダイレクトに伝わってきました。
・一人一人の子どもが自分の問題に向き合い、自分の意見をしっかり持っていることが、すばらしいです。
・不安、焦り、絶望が、子ども自身の可能性と、先生の関わりによって、つくりあげられていくものは、希望でした。
・歴史・宗教・経済・文化など、考えることの多い作品でした。過剰な演出もなく、自然な生徒の姿を見ることができる良作だと思います。
・子供たちの考え方、背景のちがいをこんなにも引き出し、愛に溢れるクラスは、観ていて感動しました。
写真撮影:Ryohei Asai
アンケート結果:ユナイテッドピープル N=39