2016年8月6日公開 ユナイテッドピープル配給

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伊勢崎賢治(東京外国語大学総教授)

NGOを含む国際援助とは、貧困を「商品化」することであり、それがどう売られるかを知る権利をその所有者から剥奪することで成り立つ“業界”である…。

「無邪気な善意」を操るのは、経済的恩恵だけでなく、精神的至福をも、もたらす。一度入ったら、なかなか止められない業界なのだ。とは言っても、援助は必要だ。“業界”の存続が目的化してしまううちに停止するならば、だ。

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白木夏子(起業家、株式会社HASUNA代表)

「地獄への道は善意で敷き詰められている」
こんな言葉を思いながら映画を見ました。
その支援は誰のためのものなのか。ひとりよがりの善意になっていないか。貧困国と繋がりのあるビジネスをする人間として、ひとつひとつの言葉が胸に響き深く考えさせられる映画でした。
援助関係者や社会起業家だけでなく、すべてのアクティビストが見て大いに議論するべき課題が詰まった映画です。

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岡田有加INHEELS代表・ディレクター)

寄付をよびかける広告に映る、アフリカのハエのたかった栄養失調の子どもたち。アフリカに対して「かわいそうな人たち」のイメージを無意識のうちに持っていた私だが、初めてアフリカ人の友人ができてからその印象ががらっと変わった。エネルギーあふれる演劇、ファッション、音楽、ダンス、食文化、人々のプライドと美意識はうらやましいほどに輝いていて、ある意味日本よりも豊かなのでは?と思った程。

寄付をするのは素晴らしい事だけれど、その辿り着く先の事はほとんど見えない現状。見えないだけならいいけれど、もしもそれが成長を妨げているとしたら・・・?「何をしてあげればいいのか」ではなく「何を一緒にできるか」という、国際協力のそもそものスタンスを見直す1本。

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横山裕司Africa Quest.com 代表)

貧困状態にある人々にモノを与えるだけの援助が物議を醸し、世界は援助の考え方・カタチを変えてきたはずでした。しかし、大きな仕組みは変わらず、今も寄付を受ける側は援助の副作用に苦しめられています。

この映画は、援助をただ批判するだけの映画ではありません。インタビューに答える方々は、援助に感謝しつつも、「援助を抜け出して、前に進みたいと」いう力強いメッセージを私たちに届けています。「貧困」のイメージに惑わされずに、対等な立場で途上国とどう関わっていくべきなのか、今こそ向き合わなければいけません。

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米川正子

米川正子(立教大学教員、元国連難民高等弁務官事務所-UNHCR-職員)

「貧困削減」、「開発援助」、「人道支援」、「ソーシャルビジネス」などの「国際協力」分野に関わっている者、そして特に将来、本分野に関わりたいと考えている若者にぜひ鑑賞を勧めたい。純粋に善行と思っていた国際協力が、時には害を与えていたという事実にショックを受け、苦痛を与えるだろうが、本映画を通して、グローバル構造について真剣に考え議論してもらいたいと思う。

援助だけで発展した国は世界どこにもないのである。本映画で指摘されたように、貧困問題の根っこにある「植民地の構造」が変わっていないからである。あるいは、援助業界に関わっている人はそれを変えたくないといった方が正確だろう。

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金城拓真(実業家)

途上国支援というと、その言葉の響きから絶対善のように受け止める人も少なくありません。
しかし、実際に途上国でビジネスをし、途上国で生活をしている者としてはその支援という善意を全て受け止めることはかなり難しい。
その理由をこの映画がよく表現しています。
途上国の人間は決して物乞いをするために生まれたわけではなく、施しを受けて一生を終えたいと思っているわけでもありません。
それにもかかわらず、支援に依存し支援なしでは生活できないようになっていることも事実。
先進国で生まれ育った僕らが途上国のために何をすべきなのか、またどういった視点で彼らを見るべきなのかの答えがこの映画にあります。

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鮫島弘子株式会社andu amet 代表取締役)

大切なことは大抵、複雑で、ややこしい。だから、ついつい私たちは本当に大切なことに目を背け、シンプルで分かりやすい言葉に流されてしまう。途上国支援や国際協力の分野はその最たるものと言えるかもしれない。この映画では、そんな、複雑でややこしい途上国支援の現実を一つの側面から丁寧に見せてくれる。

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