レビュー  土屋 陽介


さまざまな国から、さまざまな事情を抱えて、パリにやってきた子どもたち。
肌の色も、母国語も、信じている宗教も、苦手な科目も、みんなバラバラ。
でも、ささいなことでケンカしたり、
旅行に行ってみんなで大はしゃぎしたり、
友達との別れに涙したりする彼ら・彼女らは、
みんなただの一人の中学生であって、
そこには「国籍」も「多様性」もありませんでした。

この中学生たちは、違いを「乗り越え」てなんていない。
私たちが、自分とは違う他人と一緒に
毎日ただふつうに生きているのと同じように、
同じクラスで自分とは違うクラスメイトたちと
ただ「共に生きている」だけだ。そう思いました。

このレビューを書いている5日前に、
映画の舞台であるフランスで、シャルリー・エブド襲撃事件が起こりました。
多様な人達が「同じ人間」というだけで共に生きることができるのか。
私たち大人は、この映画の適応クラスの中学生たちに試されていると思います。