「ああ、今日も目が覚めてしまった」毎朝そうつぶやきながら目を開けるマサト。「もう死ぬしかない」と日記に書きつけながら、誰にも打ち明けられずにいるショウコ。“孤独”の問題は静かに、しかし確実に現代社会を蝕んでいる。日本人の約4割が孤独を感じ、社会的パンデミックとも呼ばれる。3700万人が暮らす東京首都圏でさえ、誰にも気づかれないまま孤独の淵に立つ人々がいる。本作は、そんな見えない危機に向き合う日本の今を、長年日本を見つめ続けるデンマーク人のシュローダー監督が、誰もが抱える人や社会と「つながりたい」という切実な願いを通して描いたドキュメンタリーである。
世界で2番目に孤独・孤立担当大臣を設置した日本。その最前線で、24時間365日、誰でも無料・匿名で利用できるチャット相談窓口を運営する「あなたのいばしょ」では、ボランティアたちが1日1,000件以上の「つらくてたまらない」「もう消えてしまいたい」という悲痛な声に「あなたは一人じゃない」と寄りそう。そんなチャット相談窓口に支えられながら孤独を埋めるようにフクロウを飼い始めたマサトは、寺の住職へ胸の内を打ち明けてみる。同じくチャット相談窓口に背中を押され、学生時代の友人と再会を果たした音楽好きなショウコは、長らく遠ざかっていたステージに再び立つことを夢見る。それぞれの痛みを抱えながら、それでも人とのつながりを求める二人は孤独の闇の先に光を見出せるのか──。
映画監督。1979年、デンマーク・コペンハーゲン郊外生まれ。2009年に初の長編ドキュメンタリー『ドクター・中松の発明』を監督する以前、国際的なアーティスト、グラフィックデザイナー、家具デザイナーとして活動し、数多くの短編映画やドキュメンタリーの編集も手掛けてきた。以後、15本以上のドキュメンタリー映画を脚本・監督。題材は児童向けの物語から、日の当たらない場所を舞台にした社会派リアリズム作品まで多岐にわたる。50作品以上が国際映画祭に選出され、世界各地で数々の賞とノミネートを獲得している。2014年、プロデューサーのカトリーヌ・A・サールストロム、パトリシア・ドラティ、監督のボリス・バートラム、カトリーヌ・フィルプと共にデンマークの制作会社グッドカンパニーピクチャーズを設立。創造性に富み、人物を軸にしたドキュメンタリーを制作している。
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孤独も苦しみも固有なものだけれど、出演者がそれぞれに背負って向き合っている姿を追っているうちに、不思議と自分の心が軽くなった。