もう、あなたの肩だけに背負わせたりはしない。この映画を観た私たちも一緒に、声を届けるから。これはイラクや女性という枠を超えた、「人間の問題」なのだから。
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
人権侵害を知らせること自体が難しい、世界を動かすことはもっと難しい。その中で、ナディアさんのような被害者が声を上げることの勇気、困難、希望が凝縮された映画。
土井香苗(ヒューマン・ライツ・ ウォッチ(HRW)日本代表)
いくら言葉を尽くしても越えられない「無関心」の壁と闘うナディアさんの底知れぬ悲しみに言葉を失う。それでも前を向く彼女の強さに涙が止まらなかった。
長野智子(キャスター)
2014年8月からナディアのその後の人生が一変し、声を上げてからの世界からの注目、ヤジディの代表として重責、自身の壮絶な体験を公にする勇気、それでも国際社会が動かない現実に絶望しながらも、決して諦めようとしない力強さと謙虚さに感動しました。
桜木武史(フリージャーナリスト)
ある日突然、ナディアの家族と村人は虐殺され、彼女は性奴隷にさせられる。これは昔話ではなく現代の話。死よりも恐ろしいその体験を、命がけで伝えようとする彼女の気迫に触れて「世界の現実」と対峙してほしい。恵まれた環境に生きるぼくらに、何ができるか一緒に考えてほしい。
四角大輔(執筆家・森の生活者)
イラクのヤズディ教徒を長年取材してきました。ISの襲撃で拉致され、家族を殺されたり、ナディアのように命をかけて拉致から脱出した人たち。かれらは言います。「ナディアの受賞はうれしい。でも家族や親戚の女性、子供は拉致され、まだ行方不明。そのことを知って」。ナディアの闘いを通して、人々の苦しみを知ってもらえたら。
玉本英子(映像ジャーナリスト)
夢、家族、故郷、自由―、一度に全てを失った一人の村娘ナディア。「どこに行って話しをしても、奴隷だった自分しか見えない」。悲しむ人々の代弁者となった彼女の言葉と、遠くを見据える眼差しに、私たちはどう向き合うのだろうか。
林典子(写真家)
これをきっかけとして日本でも、ヤジーディたちが置かれる現状への関心がさらに高まってほしい。ヤジーディの伝承によると、7世紀以降72回、迫害を受けてきたという。彼らの受難の歴史に終止符が打たれることを願いたい。(全文はこちら)
久保 健一 ( 読売新聞元カイロ支局長 )
この映画の中では、ナディア・ムラドさんに様々な人たちが問いかける。「何が起きたのか?」「どんな気持ちでしたか?」「あなたはどうしたい?」。だが、問いかけられなければならないのは彼女ではなく、私たちの方だった。
綿井健陽(ジャーナリスト・映画監督)
素晴らしいドキュメンタリー。映像が伝える真実に胸が潰れそうになる。
彼女は「ノーベル平和賞を受賞したすごい人」ではなく、料理し、スマートフォンで写真を撮り、冗談を言い合うような、私たちと変わらない若い女性なのだ。難民の人たちにも、家族があり、生活があり、願いがあることを、私たちはどれだけ自分のこととして考えられるだろうか。
東小雪(元タカラジェンヌ/LGBTアクティビスト)
ナディアが国連総会で話す機会を得るために直面する、資本主義的競争原理、その暴力性、残酷さは、日本に住む我々の心の内にも存在する。彼女を取り巻く人々の言葉から「優しさ」とは何かを突きつけてくるドキュメンタリー。
初沢亜利(写真家)