2015.11.14 (土) 渋谷アップリンクにてロードショー! ユナイテッドピープル配給

アンドリュー・モーガン監督メッセージ

Photo Credit: NY Times

ある朝、コーヒーを淹れようとしていたとき、ふと新聞の表紙に載った1枚の写真を見て、胸を打たれました。その写真は、二人の少年が行方不明者のチラシが貼られた大きな壁のそばを歩いているというもの。新聞を手に取ると、それはバングラデシュのダッカ郊外の縫製工場で起こった倒壊事故の話で、死者千人以上、負傷者数千人という大きな事故でした。倒壊した当時、工場は欧米の大手ブランド向けに衣服を生産していました。私は間もなく、こういった悲劇がこれだけにとどまらないことを知りました。

アメリカで生まれ育った私は、自分の衣服がどこから来るかを深く考えたことは一度もありませんでした。しかし、ブランドの裏側にいる人々やその現場について学び始めると、そこにあった現実は衝撃的なものでした。ファッションは労働依存度がもっとも高い産業で、世界のもっとも貧しい多数の労働者たちが衣服の生産に従事しており、その多くが女性です。これらの女性の多くが最低限の生活賃金以下の賃金で、危険な労働環境で、基本的な人権さえない状況で働いています。また、こういった労働者の搾取の問題に加え、ファッション産業は石油産業に続いて、2番目に環境汚染の多い産業でもあります。
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今日、私たちはますますアウトソーシングを増やし、消費を拡大し(過去20年、米国だけでも衣服の消費は400%拡大しています)、より多くの資源を使用している一方で、衣服に支払う対価は過去のどんな時代よりも少なくなっています。また、工場における労働者の事故はかつてないほど多くなっており、環境への負荷はまったく持続不可能なレベルに拡大しています。

自分たちの行動に伴うコストが明らかになりつつ今、私たちはどんな世界を築いていくべきでしょうか。自分たちが人々や世界へ与える影響をリアルタイムに測ることができるこの時代において、私たちはこの困難を克服する新たなシステムを作ることはできるでしょうか。

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これらの問いと、その答えの重大な意味が、私が『ザ・トゥルー・コスト』の監督を務めるきっかけとなりました。このドキュメンタリーは、世界中のファッション産業を探り、私たちが現在の状況やこれまでの過程を知り、よりよい未来を築いていく方法を考察するものです。この話題をめぐる議論は、あまりにも長い間、単純化されすぎた責任の押し付け合いに終始してきました。私たちは、この話題の政治的・経済的な複雑さに惑わされ、もっとも根本的かつ重要なモラルの問題を見落としてきたのです。つまり、環境への無責任な態度やもっとも基本的な人権の明らかな侵害のことです。これらは私たちが変えることができるもので、変えていかなければなりません。

世界はこの問題に目を向け始めており、よい道を選ぶ歴史的な好機を迎えています。人類は声を上げることできないもののために、声を上げるものがでてきた時に進歩します。このような声を無視せず時機を失わなければ前進します。そして、「誰かの利益は、他の人々を搾取することによって得られるものであっては決してならない」ということを理解することが大きな前進なのです。私は、この映画が人間の進歩に必要な一歩となることを心から願っています。

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アンドリューは、よりよい世界の実現をテーマにした映画の監督として国際的に知られ、これまでにフィクションからドキュメンタリー、コマーシャル、映画まで幅広い作品に携わっています。彼はロサンゼルスフィルムスクールでシネマトグラフィーを学んだ後、さまざまなテーマを扱う映画スタジオのUntold Creativeを共同で設立、現在は同社でクリエイティブディレクターを務めています。また、Huffington Postにも寄稿しており、世界中の人権をめぐる戦いにおいて物語が果たす役割について、日々自らの考えをつづっています。彼は現在、ロサンゼルスに妻のエミリーと4人の子どもたちと一緒に住んでいます。