2025年1月11日(土)より シアター・イメージフォーラム他 全国順次ロードショー 配給:ユナイテッドピープル

2040年はあっという間にやってくる。映画の中の子どもたちの無邪気で真摯な眼差しと願いを聴いてみて。その実現に必要なものはすべて私たちの手中にあるとしたら、あと何があればよいのだろう?

枝廣淳子未来創造部代表、ブルーカーボンネットワーク代表

トランプ2.0という暗雲が立ちはだかる「2025」を突き抜けて、希望に満ちた持続可能な「2040」を見通せる作品。ボトムアップで太陽エネルギーや人々の「力」(パワー)をシェアすることが未来を拓くと確信できる。女性のエンパワーメントの強調も秀逸。

飯田哲也ISEP 環境エネルギー政策研究所 所長

未来に絶望する人のために、この映画がある。これは、SFやファンタジーではなく――
すでにある技術を組み合わせるだけで、気候変動、エネルギー問題、食糧危機は解決できると教えてくれる教科書だ。

四角大輔作家/森の生活者

映画と同様に4歳の娘を持つ親として、娘の目線、親の目線、両者から拝見しました。経済が急成長した産業革命等知る由もない娘たちに課せられたのは極端な猛暑や水害。対策を頑張っても数十年は極端な気候の変化の中を生きて行かねばならない彼女たちにとって最も必要なのは「希望」。そして希望に向かう具体的な「解決策」を導くことが最も重要であることに心底共感します。その解決策は大人が決めるのではなく、子供たちと会話を重ね、未来の希望を何度も言葉にしてもらうこと。子供たちの言葉を実現するために大人が力を添えること。遠くない未来「2040年」を見据えて、子供たちに希望をつなぐ種を蒔く努力を怠らない。それが今を生きる私たちの責任なのではないでしょうか。

井田寛子気象予報士・キャスター

こうした愛と希望に満ちた、変革と再生の物語をぼくは待ち望んでいた。

 子どもたちに、希望を、明るい未来を、語れなくなっていた大人たちよ。ぜひ、あなたにとって大切な子どもを連れて、この映画を見にいってほしい。そして帰りにおいしいものをご馳走してあげてほしい。そしてその子に、この映画で世界中のたくさんの子どもたちがやっていたように、「自分はどんな世界に住みたいか」を語らせてあげてほしい。そしてそれを十分聞いたら、今度はあなた自身が、「その子にどんな世界に住んでほしいか」を語る番だ。

 映画の冒頭で、監督で主演のデイモン・ガモーは、人類の生存を危うくするような深刻な問題を前に絶望感やシニシズムが広がる今だからこそ、幼い子どもを育てるひとりの親として、それとは違う物語を語ってやりたいのだと言う。しかし、それは絵空事ではない。彼が挑んだのは、今世界に実在する最良の策だけを採用したら、2040年の世界がどうなるのか、を描くこと。

 ポール・ホーケン、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、ケイト・ラワース・・・といったぼくのヒーローたちが次々に登場して、実現可能な明日を語ってくれる。

ホーケンによれば、すべての分野をリジェネラティブ(大地再生型)にすることが鍵だ。特に農業は、二酸化炭素の排出を止め、炭素を隔離する両方が可能な分野」であり、また、海藻を軸とする海洋農業で海を再生させ、100億人分のタンパク質が提供できる、と。

ヘレナは経済の仕組みをローカル化することが鍵だという。ローカルな大地再生農業で使用する土地、水、電力を驚くほど減らせ、収穫量を大幅に増やせる、と。「マスコミの報道ではなく、現実に目を向ければいたるところに驚異的な希望の光が見えるはずよ」

 映画の最後に、ぼくたちはデイモンとともに、こう確信するだろう。

「実現のために必要なものは、すべて、既にある」

さあ、この再生のビジョンに向けて、動き始めよう。

辻信一文化人類学者、環境アクティビスト