海がプラスチックで溢れている―。わたしたちには何ができるのだろうか。

海が、プラスチックで溢れている。私たちには何ができるのだろうか。

シロナガスクジラに魅せられ、幼い頃から追い続けていたクレイグ・リーソン。世界中の海でプランクトンより多く見つけたのはプラスチックゴミだった。美しい海に、毎年800万トンものプラスチックゴミが捨てられている事実を知り、海洋学者、環境活動家やジャーナリスト達と共に、自身が監督となり世界の海で何が起きているのかを調査し撮影することを決意する。調査の中で明らかになるのは、ほんの少しのプラスチックしかリサイクルされていないこと。

海鳥の体内から、234個のプラスチックの破片が発見されるなど、海に捨てられたプラスチックで海洋生物が犠牲になっていること。そして、プラスチックの毒素は人間にも害を及ぼすかもしれないこと。撮影クルーは世界中を訪れ、人類がこの数十年でプラスチック製品の使い捨てを続けてきた結果、危機的なレベルで海洋汚染が続いていることを明らかにしていく。海と共に生きる全人類必見のドキュメンタリー。

監督:クレイグ・リーソン
プロデューサー:ジョー・ラクストン、アダム・ライプジグ
製作総指揮:ソンジア・ノーマン、ダニエル・アウエルバッハ、クレイグ・リーソン
脚本:クレイグ・リーソン、ミンディー・エリオット
出演:クレイグ・リーソン、デイビッド・アッテンボロー、バラク・オバマ、シルビア・アール、タニヤ・ストリーター、リンジー・ポルター、ジョー・ラクストン、ダグ・アラン、ベン・フォーグル、マイケル・ゴンジオール他
撮影:マイケル・ピッツ 編集:ミンディー・エリオット
音楽:ミリアム・カトラー、ローレンス・シュワルツ
配給:ユナイテッドピープル 宣伝:スリーピン
原題:A PLASTIC OCEAN
100分/2016年/イギリス・香港

監督Q&A

Q. 海洋プラスチックゴミの問題に関心をもった理由を教えてください。
A. 海の生き物に興味を惹かれ、海が遊び場であり学び舎になっていたからです。幼い頃から、産業公害が地元の沿岸水域に与える影響を知っていたことが、私自身にも影響を与えました。

Q. 海洋プラスチックゴミ問題が地球規模の問題だと気付いたのはいつですか?
A. 2010年、私はそれまで気付かずにいた海洋汚染の原因に気が付きました。それは、長年「使い捨て」だと教えられてきたプラスチックです。それから、私はプラスチックが人間と海洋生物に与える影響を徹底的に研究しました。

Q. 地球規模で対処すべき重要な課題だと思う理由はなんでしょうか?
A. プラスチックは人間が作り出したモノです。自然界にあるべきでない、またどう処理すべきかわからないものなので、堆積し、病のように地球を侵しているのです。地球の資源が持続的に存続するよう回復するよりも早く、私たちはその資源を使い切ってしまっています。海こそが私たちを生かしていると教わった人はごくわずかです。シルビア・アール博士の言うように、「綺麗な海がなければ、緑豊かな自然も存在しない。」天候、酸素、綺麗な水、食糧、医薬品となるものは海から、もしくは海の恩恵に支えられています。
Q.『プラスチックの海』を通して成し遂げたいことはなんでしょうか?
A. 問題を知らなければ、何もしないですよね。知ることが、問題に関わることに繋がります。問題を提起することによって、対話が始まり、変化が引き起こされることを望んでいます。協同し機能するような、海洋プラスチックゴミ問題の解決策はすでに私達の周り(身近)にあるのです。この問題の情報を共有することこそ、プラスチックの取り扱いに関する公共政策の転換につながります。

Q.映画制作は監督自身にどんな変化をもたらしましたか?
A.自分も世界の一部だという認識がより強くなりました。実際にプラスチック使い捨て反対のキャンペーンでは、大声を上げて活動しています。気がつくと私はスーパーで精算中の人や、テイクアウト商品を手渡す店員、カフェのオーナーや銀行員、政治家など誰にでもプラスチック製品の使い捨ての悪影響について話しているんです。自然に優しくサスティナブルな投資や、利益が持続可能性や環境への責任に基づいているビジネスに強い関心を抱くようになりました。

クレイグ・リーソン監督 プロフィール

ジャーナリスト、映画監督、活動家。
BBC、CNN、アルジャジーラ、ナショナルジオグラフィック、ディスカバリーチャンネル、Australia’s ABC等に出演。司会者、ニュースレポーターとして活躍し、ジャーナリストとして30年の経験を持つ。起業家としてLeeson Media International、Ocean Vista Films CEOを務める。I Shot Hong Kong Film Festival 創設。プラスチック・オーシャン財団エバンジェリスト。1999年からドキュメンタリー作品を制作、2016年公開の映画「プラスチックの海(原題:A PLASTIC OCEAN)」は国内外で15以上の賞を受賞。2017年の国連総会では短縮版(22分)が上映された。

枝廣淳子さん(幸せ経済社会研究所所長)による映画「プラスチックの海」解説

タイトルに注意してほしい。「海のプラスチック」ではなく、「プラスチックの海」である。そう、クジラや魚や貝類やさまざまな水生生物にあふれていたはずの私たちの大事な海は、プラスチックの海になってしまったのだ。

映画「プラスチックの海」は、恐怖心をあおり立てることなく、丁寧に海の現状を伝えてくれる。見た目にはかつてと変わらない、青く澄んだ海が、実際にはその隅々までプラスチックが行き渡っているようすを。海に住む動物たちがこれまでどおり生きているだけ、その体内にプラスチックが入り込み、その命が奪われているようすを。

映画『プラスチックの海』22分版、吹替版制作クラウドファンディングにご支援頂いた皆様

株式会社おおきに 野寄聖統、吾妻久、マルシェパワー横浜株式会社、北古賀・舛谷法律事務所、堂下まみ子、深海合唱団、もりもとまな、戸澤依香子、Marico Iwai、合同会社NOOK、草深あゆみ、里見喜生、山田孝、株式会社ビューズ、菅原佐喜雄、中田俊、 学び場とびら、向谷一、岩元美智彦、丹羽祥、藤井園苗、須賀智子、セルフUPスタジオ/(株)エイジレスマインド、センザキタカユキ、ベジフルキッチン、斉藤昌平、鈴木 敦子、ご当地エネルギーはりま、実形謙、一般社団法人 えらぶ手帖、大門孝行、Sera Creations、吉見 恵津子、黒崎屋、一般社団法人女性フィッシング協会、FUNC(釣りガール事務局)、松井浩太郎

(敬称略、順不同)

 

多くの皆様にご支援頂きました。ありがとうございました。
『プラスチックの海』22分版の吹替版は現在制作中です。(2021年8月)