1月29日、トークイベントを開催。ヨハン・グリモンプレ監督、そして、原作者であり『武器ビジネス : マネーと戦争の「最前線」』著者のアンドルー・ファインスタインさんが登壇!聞き手は、著書に『武器輸出と日本企業』がある東京新聞社会部記者、望月衣塑子さん。総合司会は本作配給会社代表、ユナイテッドピープルの関根健次でした。
■映画『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』について
文字起こし:
関根健次(以下関根と表記):
ここからは、質問者として東京新聞記者の望月衣塑子さんにお願いしていきます。大変沢山の質問をご用意している関係で、また通訳を介しての質問となっていますので早速望月さんにバトンをお渡ししたいと思っております。それでは望月さんよろしくお願い致します。
望月衣塑子(以下望月と表記):
よろしくお願いします。東京新聞の望月です。今日、ご紹介いただきまして3回目見ましたが、毎回拝見する度に新しい発見があって、何度みても学ぶことばかりでした。武器取引の現状について、原作者であるアンドルーさんが、台本にも作本にも関わっている武器ビジネスを書かれたこの2冊の本を読んだんですが、これをどこまで映画化できるんだろうと思っていました。ここまで生々しく関係者の証言を取り入れて映画化したことに非常に敬意を表したいと思います。日本でも非常にお馴染みのサッチャーやブレア首相、誰もが知る政治家やまた彼らの親族たちや何度も描かれていたサウジアラビアのバンダラ王子、こういう彼らとの繋がりというのは見ていて非常にショックを受けました。まず監督の方からお聞きしたいんですが、この武器取引の闇、非常に多岐に渡って描いているんですが、今日最後の方まで見ていて一番気になったのは、コロナ渦で忘れがちだったんですが、やはりアメリカが次のターゲットとして考えているんじゃないかと言われているイランとの緊張関係ですね。オバマ政権でもオバマ大統領がかなり批判的な見解を述べていましたが、その側近であるバイデンさんがトランプさんを倒して、今度アメリカの新大統領となりました。監督、そしてファインスタインさんからみて今後コロナが収まって以降、イラン対アメリカとの関係はどうなっていくと思っているのか、そして、この非常に難しい本をそもそも映画化しようと思った理由、おそらく妨害行為や嫌がらせというのが多かったんじゃないかと思うんですが、映画化に際してそういうことがなかったか、表現する時に一番心がけた点についてそれぞれお話を聞ければと思います。
ヨハン・グリモンプレ監督(以下監督と表記):
ご質問ありがとうございます。まず最初に、この映画化の提案は武器ビジネスの原作者アンドルー・ファインスタインさんから私の方に依頼をいただきました。私が元々映像作家であることから、彼が私の作品をみてくれて、この武器ビジネスを映画化しないかとお誘いを受けました。そこから二人で色々原作を分析し、どのような流れの作品にするかと言うことを話し合いました。先程望月さんもおっしゃっていましたサッチャー等のとても公明な政治家たちとの関わりや、親密な交流も描いてますが、この映画でまず人々に伝えたかったのは、このような武器ビジネスは決して隠された闇取引ではなく、むしろとても堂々と、公の場で政治のトップレベルの人と話し合いの場で行われているということを明らかにしたかったんです。
そして、この映画の中でもおわかりいただけると思いますが、各国政府が武器を取引する場合は戦争を止めるために武器を買うのではなく、むしろ限られた人たちの利益が続く為に武器取引が行われるのです。なので決して安全保障をするのではなく、むしろ危険を保障するような取引だと私は思っています。歴史上でこれまでも、例えば日露戦争等で同じ売人が日本側にもロシア側にも武器を売っていたというような事実があります。この映画の中でも表現したかったのが、そのような戦争ビジネスが続く中で、犠牲を強いられる第三国等の国々です。実際に武器取引に関わるディーラーたちにも出演をしてもらおうと色々交渉をしました。実際にこの作品に出てくるリッカルド・プリヴィテラという男性がいます。本当はもうひとり、武器ディーラーが出演を承諾してくれていましたが、出演料を求められたのでお断りしました。我々はあくまでジャーナリストとしてこの作品を作りたかったからです。武器商人のプリヴィテラはスイスに亡命しており、彼に取材に行ったとき、私達にこう言ったんです。「こういう映画を作るんだったら、身の安全のためにピストルが必要だから、俺がピストルを売ってあげよう」と。銃を売りつけようとしてきましたが、お断りしました。
そして、私達の身に危険が迫ったことがあるかという話は、アンドルーから話せると思います。最初に原作の本があったので、彼はこの本を書いている時点で既に、弁護士のチームをそばに置いていました。本が出版される前後でロッキード・マーティン社から訴訟がきたのですが、それにも備え弁護士を事前に用意をしていたんです。その話はアンドルー(原作者)本人がしてくれると思いますが、望月さんからのもう一つの質問の、イランとアメリカの今後の展開に関して、我々は「政治サッカー」と「政治フットボール」というふうに表現していますが、どのようなボールがパスされるかは、アンドルーの見解を話してもらいたいと思います。
原作・脚本 アンドルー・ファインスタイン(以下原作者と表記):
ヨハン(監督)と私がこの作品を映画化しようと決めた時、ここは確実に、しっかりと表現しなければならないと決めいていたのは、世界的な武器ビジネスの構造的な要素をしっかりと映し出すこと。要するに、暴露したいと、ヨハンは最初から決めていました。武器ビジネスとはどの様に機能していて、なぜそのように機能していて、誰がそれを進めているのか、なんのためかというと、まず何よりもお金です。政治と武器ビジネス、そこに関わるものたちのために、お金が循環していくシステムだからです。これはイギリスや、日本、アメリカも変わりません。政府側の人間や、軍事リーダー、軍事メーカーもそこでちゃんと利益が循環するように構造が成り立っています。このようなビジネスが成り立てば成り立つほど、国の経済、豊かさはどんどん貧しくなっていきます。そして、この原作の本を書くのに、年半の時間を費やしました。その間に何度か脅されたり、危険な目にあいそうな時もありました。私が以前所属していた南アフリカの政党の同じ側の人間も、自分たちの汚職や賄賂疑惑などをばらされたくないと言う気持ちから、わたしを妨害しようとしましたし、武器商人からも執拗に手書きの脅迫状を送られることもありました。しかし誰よりも一番危険なリスクを負っているのは、告発者です。一番ソースに近いところにいて、真実を訴えようとする人たちが一番危険な目にあっています。
まず、この上映会でみなさんと一緒にこの話をできることをとてもありがたく感謝しています。そして、望月さんのこれまでの沢山のご活躍伺っています。あなたのようなジャーナリストに心から敬意を表したいと思います。ジャーナリストの仕事は、権力に対して真実を突きつける、真実を語るというとても重要な仕事だからです。先程ロッキード・マーティン社から脅迫を受けた話もしましたが、そのような事のためにも事前にこの本を作るにあたって、膨大な量の公的な文書を資料として使っていました。2800書もの公的文書です。これらの証拠があったので、どんな法的手段を使われても、私達はしっかりそれらに答えることができました。そして、イランとアメリカの今後の展開についてわたしの考えを手短に説明しますと、確かにアメリカ、サウジアラビア、イスラエルなどの国は、イランの今後のあり方に変化を望んでいるでしょう。それは、イランが核兵器などをもつ脅威だからではなく、最も中東で核の兵器を大量にもって中東地域への脅威と言われるべき存在はイスラエルなのですが、彼ら側がイランを脅威だとみているので、今後アメリカ側がイランに攻撃宣告をする可能性は大きいと思います。おそらくアメリカ政府側の保守派の人々も、それを狙っているのではないかと思います。今のイエメンの現状をみると、イエメンでは既に2万人以上の人々が戦争の犠牲になっていますが、それと非常に似たことが今後もまた展開されると私は懸念しています。
望月:ありがとうございます。次の質問なんですが、絶望的にはなりますけれど、アンドルーさんの本が出て、グリモンプレさんがこの作品をつくったことで、戦争とはなんのために、誰のために行われてきたのかという歴史を、第一次大戦、その前から踏まえて、見る人が理解できたんじゃないかと思います。本を出したり、映画を制作したことで、新たな良い方向のリアクション、もしくは反響があったかをお二人にお聞きしたいのと、アンドルーさんはCorruption Watch UKの創設者ということもかかれていたんですが、こういった組織が今、具体的にどういったことに取り組んでいるか、映画の反響と、その組織がどんな状況なのか教えて頂きたいと思います。
原作者:そうですね。1冊、一本の映画がこのような変化を生み出しました、とはっきり言うのは難しいと思いますが、ただ私自身、この分野で活動を20年ほど続けていますが、この近年で世界的な武器ビジネスの真相を明るみに出すような文献、メディアの取材などはこの数年で、本当に劇的に増えてきたと感じています。それは、もしかしたら私の本や、ヨハンがつくったこの作品が、そのような事実を沢山の人々に届けられるようになったことで、それがどんどん連鎖し情報が広まっているのではないかと自負しています。そして、私が務めていますCorruption Watch UKは、イギリスを拠点に武器ビジネスによる人権侵害や、汚職疑惑を調査する団体です。それをしっかり調査し事実を突き止めてから、今度は市民たちにそのことを発信して、各国の市民たちが自分たちの政府に変化を求める市民運動を促すような活動をしています。
原作者:仰る通り、この映画を見る方々の多くは、とてもひどいことだけれど政治家はとても強い権力者だし、私達にできることはないんじゃないかという無力感を感じると思います。ただ手短に、3つのポジティブで希望のあるお話をしたいと思います。実際に市民の運動が状況を変えたというケースです。一つ目は、私の母国南アフリカのズマ元大統領が、以前武器取引の賄賂を受け取っていたことが明らかになり、今年の3月か4月に、私は裁判で証言します。これは非常にレアケースでして、政治家が武器取引の汚職で、裁判までちゃんと連れて行かれることは本当にレアなんです。
そして2つ目のケースはイギリスで、3ヶ月ほど前から、少数の市民団体がイギリス国内にある10箇所のイスラエルのドローン工場を占拠しています。彼らは工場に侵入し、3日間ほど工場を占拠しました。そして逮捕されるんですが、逮捕後、釈放されたら、また次の別のイスラエルのドローン工場を乗っ取りに行くんです。そのような形で一種の直接的なダイレクトアクション、市民不服従運動が行われています。そして3つ目のケースが、先日バイデン大統領がサウジアラビアとUAEとの武器取引を一時中止すると宣言しました。これはイエメンの状況を配慮しての事ですが、この武器取引中止が完全な決定的なものであれば、確実に、今中東で起こっていることにポジティブな変化が起きると、期待しています。
望月:本の中には、一部アンドルーさんが書いたことで色んな資料、公的資料を立件される刑事的な訴追される可能性はほとんど、絶望視してるとあったんですけれども、今そこに変化が出てきていると言うことに少し希望を感じました
それから、日本で言うと、NAJATさんの市民団体が作った「武器取引反対ネットワーク」という市民団体があるんですが、そこがやはり防衛企業に対して武器を作らないでほしい、武器を海外と開発しないでほしいと、色んな形で一生懸命声を出したり、署名を届けたり、ということをやってまして、それによって防衛企業側を取材すると、やはり消費者である市民の人たちが小さい塊とはいえ、色んな形で外に伝えられたり報告されたり、それをジャーナリストが取りあげられることで、あまり武器ビジネスに日本としては賛成したくないという声もあがるようになりました。
次の質問に行かせていただきます。まず監督に、映画の中でイラク人の記者がブッシュさんに靴を投げつけるシーンがありました。また、オバマ大統領にも、無実の16歳の少年をなぜ殺したのか、と果敢に戦争責任を追及する女性、アクティビストが描かれていました。ああいうシーンをどういう思いで入れたかということと、世界にいるジャーナリストにどういうことを期待するか、ニューヨーク・タイムズのジュディス・ミラーさんはイラクに大量破壊兵器があると報道したことが誤報となり、最終的に懲戒解雇されました。映画でも出ていたニューヨーク・タイムズのクリス・ヘッジズ記者は、イラクへの戦争介入は問題だという風に書いたために懲戒されるという衝撃的なことも起きました。ジャーナリストというのはともすると、ミラー記者のように、CIAはじめ権力者が戦争を肯定化させるための世論誘導の道具にも使われているという風に感じます。戦争を起こしたい企業側や権力者の言いなりにならないために、私たちジャーナリストはどういうところにまず気をつけていかなければならないのか、気をつけていくべきかと思いますか。
監督:今の質問は2つありましたが、2つでひとつという風に感じました。なぜなら、ブッシュ前大統領に靴を投げたイラク人のジャーナリストの男性は、イラク人たちの、彼らのストーリーを取り戻そうとしたんです。つまり、当時ブッシュ大統領は、イラクの人々は私たちを花束を持って迎えてくれた、という風に言っていましたが、それは全くの嘘で、イラク人として自分たちのストーリーを取り戻すために、靴を投げつける、という抗議に出ました。映画の冒頭にも出ている詩人のエドゥアルド・ガレアーノの「科学者たちは人間の体は原子でできていると言っているが、わたしは人間の体はストーリでできているのではないか、物語で人々はつくられているのではないか」という詩があります。それはつまり、人々が自分たちのナラティブ(物語)を取り戻すことだと私は思います。第一次世界大戦中に、クリスマスの日に何万人もの兵士たちが戦いをやめて、敵同士で走りあって、抱き締めあって、共に平和にクリスマスを過ごした。そこから見えるように、彼らは相手を殺したくなかったんです。そこには人間性のストーリーがあると私は強く思いました。いま、コロナのパンデミックの状況で非常に悲惨な状況が続いている世界ですが、クリス・ヘッジズが言っていたように「私たちは愛と思いやりのストーリーを取り戻せるはずだ。それができるのが人間」です。限られた人たちの利益のために物事が進むのではなく、人々の連帯のために、私たちは新しいストーリーを紡ぎださなければならないと思います。今こうやってZoomを通して、私たちが新しいストーリーの可能性をイメージしているように、始められると思います。
原作者:日本にも「NAJAT」のような素晴らしい市民団体、そしてジャーナリズムの活動があるということはとても嬉しく思います。ジャーナリズムの役割というのは、「市民が正しい情報を受けとるために機能している」ことだと私は思います。ただ現実には、多くのジャーナリズム機関は、政府や企業のための、いわばマウスピースの役割をもたされている、特にこの10年15年、その傾向が強まっていると感じています。そして8年ほど前からでしょうか、映画でも武器商人の男性が言っていますが、政治家はもともと嘘をつくものだった。昔から嘘をつくのは政治家だったけれど、今は政治家が嘘をついたとばれても罰されない。トランプ元大統領が、口を開けるたびに何か事実ではないことを言ったとしても、それを糾弾されても、彼は「フェイクニュースだ」といえばそれで収まっていたんです。大統領ともある人物が、そのように野放しにされていた。このようなことが近年もっと起きているように感じます。ジャーナリズムの役割というのは権力に対する真実を述べること、国民に正しい情報、理解が行き渡ることだと思っています。クリス・ヘッジズが、ジュリアン・バンダという人物の言葉を映画で引用していましたが、ジャーナリズムは、特権を持つ権力、または正義と真実どちらかにつかなければならない。それは天秤にかけられていると。どちらかに偏るとどちらかが減ってしまう。私はジャーナリズムの役割は正義と真実の側につくべきだと思っています。近年SNS、ウェブメディアが発達し、それは良くも悪くもありますが、大手メディア、大手新聞などが、これまで手を付けなかったことにどんどん積極的に手を付けているのが、今のウェブメディアだと思います。イギリスでは、Declassified UKというメディアがあり、イギリス政府が世界各地でやっている悪事を調査して報道している機関です。
望月:映画の中に、パキスタン女性で、ナビラ・レフマンさんという方が出てきました。私もかつて、彼女が日本に来た時にインタビューしました。オバマ政権の中で進められた無人攻撃機で被害を受け、お祖母様が殺されて、彼女も怪我をしたという話だったと思いますが、インタビューに対して彼女は、アメリカ中心の多国籍軍はこのままだとアフガニスタンを分断してしまうと。400機を超える無人機を投入したけれど、むしろテロ行為は増えていると、無人機による攻撃機ではなく、教育による支援で、私達を今いる、ある悲劇から救ってほしいと訴えていました。映画で沢山あった無人攻撃機と思われる空爆のシーンですが、今後、いわゆるAIや宇宙戦争と言われ、人ではなく無人機による攻撃が拡大していくと思うのですが、こういうことに、人間としてどのように理性、愛をもって私達が、市民を含めて声を上げていくべきか。オバマさんというのは一見良いように言われているんでが、ノーベル平和賞受賞者のマララさんにはお会いし、ナビラ・レフマンさんがアメリカに行った時には、面会は拒んだと聞いています。こういったアメリカの姿勢、一方で良い市民の強さとかNGOのネットワークというのもあるんですが、政府のやっているテロとの戦いというのも、今日の映画を見れば、全く違う世界の論理の中で戦争がはじまっていた、ということがよくわかりました。このようなアメリカについてどう思われているかお聞かせください。
監督:テクノロジーは、決して中立なものではないということです。テクノロジーの研究開発には膨大な資金が投じられています。そこに紐付いている企業を見ると、中立ではないということがお分かりになると思います。例えばドローン1台にしても、ドローンだけの値段だったら安いものかもしれない。しかしそのドローンについてくるビッグデータなどの、そのようなリターンが、取引に含まれています。ジョン・ピルガーというジャーナリストが解明したのですが、アメリカではすでに300以上もの大学が、ビッグデータ関連企業にスポンサーされています。つまり、ビッグデータ企業にスポンサーされた大学で、データ分析研究がされているということです。
原作者:手短にですが、オバマの話と、AIの今後の話をしたいと思います。確かにオバマ前大統領は、他の大統領たちに比べると、比較的に良い人のイメージは確かにあったと思います。しかしジェレミー・スケイヒルというジャーナリストが判明させたように、当時、18か月間、毎週火曜日に軍事会議に参加しており、この会議は、キルリスト(Kill List)会議と呼ばれていました。つまり、暗殺リスト会議と呼ばれていました。今週は誰を殺すか毎週のように話し合っていたというレポートがありました。トランプより良い人のように見えていますが、実際には、このアメリカ合衆国といういわゆる帝国のような国が、世界の平和のために頑張っているというイメージははたして真実なのか。我々は追及しなければなりません。そして、オバマがマララさんとは会ったが、ナビラさんとは会わなかった。それはなぜか。マララさんとナビラさんは、とても似たような経験をしている。しかし、マララさんはアメリカの世界への影響力、そしてその構造を批判したり追求したりしなかった。マララさんは、アメリカの権力を疑問視するような発言はしなかったからです。ナビラさんはした。だからオバマは、ナビラさんと会わなかった。決してナビラさんのことを悪く言ったりしている訳ではありませんが、比較としてそれが、マララさんとナビラさんの大きな違いということです。これからどんどん殺人マシーンが増えていくこと、非常に懸念しています「戦争ではなく、外交で問題解決しなければならない」と私たちは市民として、政府に訴え続けなければならないのです。国際武器条約などの規制が必要だと、私たち市民が声を出さないといけないのは、4年に一度、選挙で1票入れればいいという訳ではありません。毎日、私達が市民として政府を見張ってなければならない。なぜなら税金で政治家を雇っているからです。私達は彼らの働きを見張りしっかり管理する責任があります。マーガレット・ミードという人が言っていました。市民が世界を変えることなんてできないと思わないでください。これまで世界を変えてきたのは市民の力だったからです。
望月:前安倍政権時代、2014年に、武器輸出三原則の「武器を売らない・持たない・作らせない」という3原則を撤廃し、武器輸出解禁ということに踏み切りました。しかし、実戦経験がイスラエルのようにない日本の武器というのは、世界の武器市場では売れず、せいぜい売れたのが、フィリピンに出した中古練習機の飛行機PC90というものの貸与だったんですが、昨年はじめて、フィリピンにレーダー4機というのを輸出しました。これから日本の防衛省はUAEに送ろうとか、日本の武器を海外市場に出そうということをやろうとしています。しかし、日本の憲法9条、そして、かつての武器輸出三原則というところに、立ち戻らなければいけないんじゃないかと、お二人の意見を聞いていて感じるんですが、今の日本の動きについて一言コメントをいただきたいのと、今私たち市民のアクション、日本人として何をするべきか、それから先程言った、兵器の取引の禁止条約を作っていく必要があるのと同時に、つい最近、世界50カ国が参加して批准された核兵器禁止条約。唯一被爆国である日本がオブザーバーとしても参加しなかったと、今、国内外で政府が批判されています。これについても一言だけコメントをいただき終わりたいなと思います。
監督:第二次世界大戦後、軍を持てなかったというにも関わらず、ドイツも日本も非常に経済的に成長した国です。戦後からすぐに。軍事的な武器取引などがないと経済的に発達しないというのは、まったくのまやかしだと思います。
原作者:日本の武器輸出は、あくまでひとつのシンボルだと思います。日本の武器産業は経済的に非常にコスパの悪いもので、日本が本当に武器輸出産業を作ろうとすれば、全く効率性の悪いものになります。日本政府は武器輸出の再開によって「我が国は平和ではなく戦争の側にたちたい。賄賂や汚職の側に立ちたい」とメッセージを出そうとしていると思います。武器輸出三原則のように最近の核兵器禁止条約、これは形だけのものでまったく意味のないものになっている。世界でもっとも影響力のもつ大国が、ここに批准しないとどんな規則をつくっても全く意味がありません。ここは私たち市民の責任がとわれるところです。私たち市民のお金が使われている。だからわたしたち市民、国民がこんなお金の使い方は認めないとハッキリと意思表明をしなければなりません。そのために、この映画、私が書いた本、そして望月さんのようなジャーナリストの役割が今までよりも更に強く求められると思います。そして私達一人ひとりが、ここに参加してくださっているみなさんも含めて声を出し、力を集めなければならない。そうしなければ、ここまで手のつけられないような状態になってしまった。国際的な武器ビジネスはどうしようもないところまでいってしまいますから。
望月:ありがとうございます。二人のメッセージをしっかり受け止めて日本での映画を見てもらって本を沢山読んでもらうように伝えていけたらと思います。ありがとうございました。
関根:望月さん大変素晴らしい質問の数々をありがとうございました。最後によろしければこれまでお話を聞いてどんな感想をもったかを一言いただいて、この会を締めたいと思います。
望月:世界の武器取引を本当に、ご自身への脅迫電話とか様々な嫌がらせを受けながらよくここまで作れたな、おそらく今でも身の危険を犯しながら活動に取り組まれていると思うんですが、お二人がこの本を作り映画を作ったことで、日本にいる私達も黙ってはいけないんだなと、やはりもっともっと声を上げて、今、日本が踏み込んでいこうとしている武器輸出への動きというのは、何が何でも止めなきゃいけない、小さな一ジャーナリストではあるんです、世界にいるみなさんとつながって、今日ここで視聴してくれている皆さんとやっていけば、小さな声が少しずつ大きくなって、最後はやはりこの政治を変えるのは私達なんじゃないかな、と非常に大きな勇気を与えてもらえました。
本当にありがとうございました。
Comments are closed.