INTRODUCTION

「戦争中のサラエボにU2を呼びたい」一人のクレイジーなアイデアが不可能を現実に
「過去を忘れて、未来にキスを、サラエボ万歳!」。U2が1997年9月23日、4万5千人を前にサラエボで行ったライブは、今も語り継がれている。かつてサラエボの人々は民族・宗教に関係なく共存していたが、紛争は人々を引き裂いていた。このライブは、そんな人々を音楽の力で再び一つにするものだった。本作は、U2がボスニア紛争終結後にサラエボでライブをする約束を果たすまでを追ったベン・アフレックとマット・デイモンがプロデュースしたドキュメンタリーだ。
4.5万人が感涙した伝説のサラエボ・ライブの舞台裏が初めて明らかに!
銃弾が飛び交う危険なボスニア紛争中、若者たちは解放を求め夜な夜な地下で行われていたパンクロックライブに熱狂していた。そんな彼らにとって世界的アーティストで戦争や人権など社会的なメッセージを発信していたU2は憧れの存在だった。ある日、アメリカの援助活動家のビル・カーターはU2をサラエボに招くことを思いつく。U2はサラエボ行きを決意するが、安全面の観点から断念。であればと、ビルは衛星中継で戦火のサラエボからの様子をU2のZOO TVツアーに届けることに成功する。そして約束通り、戦後しばらくしてU2がボスニアで行った平和と民族の融和のためのライブは、人々に強烈な印象を残すことになる。世界各地で戦争が絶えない今、U2のメッセージは時代を超えて私たちの心を震わせる。

COMMENT

音楽は生きることの証であり絆。
人と人を繋ぎ、人類は一つである事をおもいださせてくれる。この映画はそんな音楽の力、素晴らしさを魅せてくれる。
隔たり、溝が深まるこの時代にこそこの映画の意義を感じる。

─ クリス・ペプラー (TV・ラジオパーソナリティ)
サラエボの衛星中継でボノも観てる自分も目が覚めた。
ショックだった。
そこからのU2が凄かった。
本当に凄かった。
34年経って初めて「ワン」が分かった。
世界中の人に観て欲しい。

─ 永野(お笑い芸人)
30年前のサラエボの様子を見ると今のウクライナとガザを連想せずにはいられません。
買い物に出かけることも命がけという絶望的な日常をアートや音楽でしのぐ人たちの精神力に感激します。
自分たちの状況に世界の注目を引くためにどうすればいいか?
U2の歴史的なコンサートよりも、それにつながるプロセスが肝心で、ピープル・パワーを感じさせます。

─ ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
深い不信と恨みが残る場所で、こんなコンサートが大成功していたなんて、、、。
セルビアやサラエボを旅した私には信じられない。音楽の力って本当に素晴らしい。歴史も人の心も瞬時に溶かすU2の魔力と怪力にも乾杯!!

─ 湯川れい子(音楽評論家)
Zoo TVツアーがあのタイミングで行われていなければ、人々の心の糸が切れてしまい生きる希望を失っていたかもしれない。
そういった意味でも、あのZoo TVツアーがどれだけ意味のあるツアーだったのかを改めて再確認できました。

そして音楽の力が、自分達が扱っているこの目に見えない武器がどれだけ偉大なのものなのかも再確認できました。

U2のような力は自分にはまだまだありませんが、いちミュージシャンとして自分には何ができるのかを改めて考えていこうと思えた素晴らしい映画でした。

─ 悠介(lynch.ギタリスト)
U2というバンドは人によって好き嫌いあると思うけど、やはりこういうことができるのはU2しかいないし、こうした問題に関してまっすぐに旗を振れるミュージシャンはボノしかいない。その青臭く暑苦しい正義感をせせら笑う向きもあろうが、これは音楽の力を信じたくなる作品だ。すべての音楽ファンが襟を正して見るべき秀逸な傑作。(全文

─ 小野島 大(音楽ライター)
近年最も魂揺さぶられた映画。 

いかなる状況でも、たとえそれが戦火の中でも、
音楽は、ロックンロールは、人々にとって重要な存在なんだ。
ボノが言うようにこの戦乱の世の中で、この瞬間にも誰かが殺戮の犠牲となっている今、
音楽を、ロックバンドやってるなんてバカみたいだ、と何度も思ってきた。
アーティストでいることの無力感を何度も感じてきた。 
けれど、音楽が人々を救える、世界を良き方向に導ける、その可能性がまだまだ残っていることをU2は証明してくれた。
これ以上の感動はない。
魂がとてつもなく鼓舞された、と同時に、今までの自分の生き方が間違っていなかったと確信が持てた。 

あれから30年を経た今、世界は更に混迷の中にいる。
サラエボの苦悩がウクライナやパレスチナと重なって見える。
人間は、特に指導者と言われる愚かな人々はあまりに傲慢で欲深く、全く進化できていない、全く学べていない。

この世の中を変えたい。
そして音楽という武器と盾はここにある。

─ SUGIZO (ミュージシャン)