「アフガニスタンでタリバンの処刑リストに挙げられた映画監督が難民受け入れ先を求めて、奥さんと8歳と5歳の娘を連れて徒歩で5600キロの旅をするドキュメンタリーです。地獄旅なんですが、娘たちが一生懸命明るくふるまうのが泣けて泣けて」https://t.co/PbzhKB6DSZ
— 町山智浩 (@TomoMachi) August 31, 2021
ハッサン一家4人の3つのスマホで撮影されたこの映画は、そのスマホで電話をしているシーンは無い。彼らのスマホは携帯電話ではなく、家族の様子と安住の地を探す過酷な日々を記録する生存証明のようだった。見果てぬ家路の道中で撮影されたスマホ映像の数々は、美しい映画に昇華した。
タリバンを描いたドキュメンタリーで死刑宣告を受け、「難民」という出口のない旅に漕ぎ出す監督一家。しかし過酷な逃亡生活を支えたのもまた、妻や娘も撮影者になって、スマホでドキュメンタリーを撮り続ける行為だった。観客は瞬時に家族の一員になり、安住の地に辿り着けない不安と、守るべき者たちの愛おしさを共有するだろう。そして、入管で人の命が奪われるような、世界一「難民」を理解しない日本人の意識をたった87分で完全に変えてしまうだろう。
パレスチナにシリア、南スーダンにミャンマー、アフガニスタン、そしてクルド。まだまだある。行き場がない難民は世界中にいる。日本にもいる。その彼らを外から撮った映像は何度も観た。でも彼らが撮る彼ら自身を観るのは初めてだ。多くの人に観てほしい。そして考えてほしい。彼らへの直接的な加害者はわかる。でも間接的な加害者は誰なのか。彼らから希望と権利を奪い、追いつめて苦しめているのは誰なのか。
こんなリアルなドキュメンタリーは観たことない。処刑への恐怖、祖国を去る絶望、命懸けの逃避行、差別への悲しみ、家族の愛、すべてに壮絶なほどのリアリティがある。
【🎬#映画com映画評論】
今週の2作目は「#ミッドナイトトラベラー」
“アフガン難民とスマホ撮影の時宜性が、“家族”という普遍的価値を際立たせる”(高森郁哉)👉https://t.co/qn0xoJPGbF
予告編は👉https://t.co/JGt5Hmebv4#ハッサン・ファジリ #アフガン #アフガン難民 #タリバン @mdntr pic.twitter.com/ToYylWeAhA
— 映画.com (@eigacom) September 7, 2021