9月16日(土)シアター・イメージフォーラム他にてロードショーとなる『“敵”の子どもたち』についての解説がイラク人道支援ワーカーの高遠菜穂子さんから到着しました。
「イラク戦争がなければISISは出現していなかっただろう」と言ったのは、米国とともにイラク攻撃を主導したブレア英元首相だ。イラクが大量破壊兵器を保有していると主張し、米英が先制攻撃を加えた国際法違反の戦争だ。結局、大量破壊兵器は見つからず、ブッシュ米大統領(当時)は「情報が誤っていた」ことを認めた。「テロとの戦い」をやたらに強調した大義なき戦争は、イラク市民65万人以上の命を奪い、世界にテロを蔓延させた。
このイラク攻撃は、サダム・フセイン政権を崩壊させ、イスラム教スンニ派の反乱を引き起こし、海外からジハード(聖戦)主義者たちを呼び寄せることになった。数百人がISの前身であるイラクのアルカーイダに参加したと考えられている。
戦後もイラクに駐留し続けた米軍は、「対テロ」を強調した治安維持の名の下、イスラム教徒に対する蛮行を繰り返した。反米感情は高まり、スンニ派武装勢力は逆に増えていくことになる。米軍の組織的な拷問や虐待が発覚したファルージャ近郊のアブグレイブ刑務所。さらに「テロリスト製造工場」と言われた南部バスラにあるブーカ刑務所。オレンジ色のジャンプスーツを着せられたイラク聖戦アルカーイダのメンバーたちは、この刑務所で「ISマスタープラン」を練っていた。2014年6月にイラク北部モスルで「イスラム国建国宣言」をしたアブ・バクル・バグダーディは、ブーカ刑務所の模範囚だった。
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