2024年6月1日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー 配給:ユナイテッドピープル

監督メッセージ

私たちは何のために存在しているのでしょうか?

 2014年、私がメラニー・ロランと映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』を制作していたとき、幸運にもスタンフォード大学の科学者で気候変動が種に与える研究を専門とするアンソニー・バルノスキーとエリザベス・ハドリーに出会い、インタビューをすることができました。彼らの話を聞き、いくつかの調査をしたことで、世界中の科学者たちが「6度目の大量絶滅」と呼んでいる事象について知ることができました。これほど多くの種が、これほど短期間に、これほど大量に姿を消したのは、恐竜の時代以来であると。このような状況は私たち自身の存在を脅かすだけでなく、この地球上での私たちの存在意義についても疑問を投げかけています。

 人類にはこの惑星を植民地化し、地球上の他のすべての生命体を自発的あるいは恣意的に根絶やしにする権利があるのだろうか?この映画では『TOMORROW パーマネントライフを探して』でもそうだったように、なぜこのような状況に陥ったのか、そしてどのような解決策があるのかを理解したいと考えました。種の絶滅に歯止めをかける方法を示すだけでなく、私にとってこの映画は「人間はどのような役割を果たせるのか」という根本的な問いに答えるものでなければならないと思いました。私たちは何のために生きているのだろうか?私たちが果たすべき目的とは何だろうか?

 多くの生態系では種が互いに補完しあい、影響しあい、自己調整しあってバランスを保っています。バランスです。人間は、自分たちの利益のためにこのバランスを崩すことができる唯一の種であり、その過程でおびただしい数の種を絶滅させています。しかし、私たちが単なる侵略的寄生虫であり、他の種にとって少しも役立たないとは信じがたい。実際に私たちは多くの出会いと、ほとんど通過儀礼のようなベラとヴィプランの旅を通して、人間は他の生物と共存するだけでなく、再生させたり、良い方向へと導くことができると感じました。それは、いくつかの心踊るような展望へと繋がりました。

©Fanny Dion

シリル・ディオン(CYRIL DION)

1978年生まれ。映画監督、作家、詩人、環境活動家。演劇を学んだ後、イスラエル・パレスチナの和平問題に従事。平和のためのイマームとラビ会議のコーディネート。循環型社会を目指す運動体コリブリを共同設立。雑誌「Kaizen」の共同創刊とディレクションを手がけ、アクト・シュド社より叢書「Domaine du Possible」を刊行、編集を務める。2014年に詩集『Assis sur le fil』を出版。2015年メラニー・ロランと監督した映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』は2016年のセザール賞最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。2017年に小説『Imago』を、翌年にはエッセイ『未来を創造する物語 現代のレジスタンス実践ガイド』を出版し、10万部を売り上げた。