2024年10月4日(金) アップリンク吉祥寺 他にて全国順次ロードショー 配給:ユナイテッドピープル

ガザ出身医師、アブラエーシュ博士を日本に!

ユナイテッドピープル代表の関根健次と申します。大学の卒業旅行で1999年にガザ地区を訪問した経験から、平和の実現を志すようになりました。どうしたら憎しみの連鎖を断ち切ることが出来るのか?と、悩みながら行動を重ねてきました。ガザ地区については、一人でも多くの命を救うため、停戦を実現するためにも『ガザ 素顔の日常』『ガザ・サーフ・クラブ』『医学生 ガザへ行く』を配給して来ました。

学生の頃、25年前に訪れたガザは(その後「天井のない監獄」と言われるようになりました)、予想に反して、世界のどの街角とも変わらない日常がありました。商店街を歩けば、誰もが優しく声をかけてくれ、ご馳走してくれました。オスロ合意の後の平和への期待感が感じられました。しかし、絶望してしまった子どもとも出会いました。眼の前でイスラエル兵に叔母さんを殺された少年は、復讐を誓っていました。いわゆる「憎しみの連鎖」の当事者との出会いでした。

子どもが戦争の結果、復讐のために人生を歩むなんてあってはならないと思いました。しかし、そこには原因があったのです。その原因は、戦争や紛争でした。原因を取り除かない限り、「憎しみの連鎖」や「報復の連鎖」は続いてしまいます。「憎しみの連鎖」を断ち切るには、戦争のない平和な世界を築かなければならない。ガザ地区への訪問と、彼との出会いは彼のみならず、世界中の子どもたちが子どもらしい夢を描ける世界を創りたいと願うきっかけとなりました。

去年10月7日、ハマスがガザ地区からイスラエルに侵入し、1200人ものイスラエル人を惨殺する痛ましい攻撃がありました。イスラエルはこの攻撃に対して、大規模な報復攻撃を行っています。すでに約4万人が殺されたとされていますが、瓦礫の下敷きになっている人だけでも1万人以上存在すると言われています。また、爆弾や銃弾ではなく、水、食料や医療が不足していることで命を落としている方もたくさんいます。

「歴史は繰り返す」といいます。「憎しみの連鎖」が、あれから25年経っても続いています。それも過去とは比べられない規模の攻撃が続いています。なんとか、暴力の応酬が繰り返される状況を転換しなければなりません。

今年、戦争被害の当事者でありながらも、「憎しみの連鎖」を断つために行動している方と出会いました。2009年、イスラエル軍の攻撃によって3人の愛娘と姪を殺されてしまった、ガザ地区の難民キャンプ出身の医師イゼルディン・アブラエーシュ博士です。

「もし、私の娘たちがパレスチナ人とイスラエル人の平和への道のりの最後の犠牲なら、私は娘たちの死を受け入れるだろう 。」

「私はこの悲劇を、彼女や他の人たちのためにポジティブな行為に変え、彼女たちの死を無駄にしないためにも最善を尽くすつもりだ。」

彼は、こうも語っています。

「戦争は無駄だ。
暴力には暴力で対処しても、問題は解決しない。
殺しには殺し、苦しみには苦しみで対処することはできない。
別の方法がある。」

彼の存在は、今年完成したばかりのドキュメンタリー映画『私は憎まない』(I Shall Not Hate)で知りました。同名の本が日本でも出版されているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。この映画の予告編を観ただけで、涙が溢れてきました。こんな人が存在するのかと、感激しました。その後、本編を取り寄せ観て、また、監督やプロデューサーともお話する機会を得て、ユナイテッドピープルとして日本配給することを決めました(10月4日(金)アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー)。

彼は、ガザ地区の貧困地域、ジャバリア難民キャンプ出身の医師で、パレスチナ人としてイスラエルの病院で働く初の医師となった人です。産婦人科でイスラエル人とパレスチナ人両方の赤ちゃんの誕生に携わり、「ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の赤ちゃんの違いは?みんな同じく生まれたての赤ちゃんだ」と、共存を医療の実践で示してきました。しかし、彼の医療で分断に橋を架ける試みは、イスラエル軍による攻撃で究極の試練にさらされました。3人の愛娘を殺されてしまったのです。

正義を求め、イスラエル政府を訴え、3人の娘の死の責任を追求するも、決して復讐心や憎しみを持たない彼の赦しと和解の精神は、世界中の人々に感動を与え、数え切れないほどの賞を受賞し、“中東のガンジー、マンデラ、キング牧師 “とも呼ばれる存在となりました。ノーベル平和賞には5度もノミネートされています。自伝『それでも、私は憎まない』は世界的ベストセラーとなり、日本でも出版されました。

彼の赦しや、決して人を憎まず、人間の尊厳や、究極の平和のために行動する姿勢に心底感動しました。僕が25年前に出会った少年は、残念ながら憎しみを持ち、暴力的手段を選ぼうとしていましたが、憎しみの連鎖を断つために、真の平和のために行動している博士に、希望を見出しました。

博士は、娘さんたちを失った後、宗教、民族、背景を問わず、中東のあらゆる国籍の若い女性を支援する団体、ドーターズ・フォー・ライフ財団を設立し、女性たちに奨学金を出しています。

そんなアブラエーシュ博士を日本にお招きしたい!
強くそう願い、本人に連絡すると快諾してくださいました。
10月3日から8日予定で来日が実現します。

博士来日のために、協力していただけませんか?
平和な未来の実現のために、力をお貸しください。

2024年8月26日
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役 関根 健次

1999年1月のガザ。ハン・ユニス市アルアマル病院より撮影
ハンユニスの商店街を訪れた際の様子
ガザ地区に通じる通路。この撮影は2006年当時。
ガザの子どもたち