イゼルディン・アブラエーシュ博士について
トロント大学ダラ・ラナ公衆衛生大学院 教授
イゼルディン・アブラエーシュ博士は、パレスチナ系カナダ人の医師であり、国際的に著名な人権活動家であり、中東の女性と女児の健康と教育の機会を促進するために尽力する平和活動家である。あらゆる困難にもかかわらず、彼は大きな決意と強い信念、そして希望と家族を信じる心により目覚ましい成功を収めてきた。
ガザ地区のジャバリア難民キャンプで生まれ育ったアブラエーシュ博士は、貧困、暴力、そして2009年のガザ戦争で3人の娘と姪が殺害されるという恐ろしい悲劇など、個人的な苦難を数多く乗り越えてきた。そして2023年10月7日以後の戦争で、50人以上の親族が殺害された。
平和の手段として医療を利用することに生涯を捧げてきたアブラエーシュ博士は、ノーベル平和賞候補に5度ノミネートされ、「中東のネルソン・マンデラ、マハトマ・ガンジー、マーティン・ルーサー・キング」として親しまれている。
アブラエーシュ博士の著書『それでも、私は憎まない――あるガザの医師が払った平和への代償』は、彼の喪失と変容を綴った自伝である。2009年1月16日にイスラエル軍の砲撃によって殺害された3人の娘、ビサーン、マイヤール、アーヤと姪のヌールを失ったことをきっかけに、2010年に出版された本書は、国際的なベストセラーとなった。本書はまた、紛争を解決し、平和に向かうきっかけとなる赦しへの彼のコミットメントの証ともなっている。この本は、ドイツ語、フランス語、スペイン語、アラビア語など多くの言語で演劇化された。2024年には、フランスとカナダ共同制作のドキュメンタリー映画『私は憎まない』が完成した。
ジミー・カーター大統領は博士について次のように述べている。
「アブラエーシュ博士は、その著書の中で、聖地における恒久的な和平の基礎となる赦しと和解への驚くべきコミットメントを表明している。」
アブラエーシュ博士の受賞歴には、19の名誉博士号、オンタリオ勲章、功労十字章、エリザベス女王二世ダイヤモンド・ジュビリー・メダル、総督メダリオン、世界市民活動賞(レジストリのカナダ支部より授与)、マハトマ・ガンジー平和賞(カナダ)、P&V財団市民賞、カルガリー平和賞、ロンバルディア地域平和賞、スタブロス・ニアルコス賞(平和賞)など、数え切れないほどの国内外の賞が含まれる。アブラエーシュ博士は、「カナダ移民トップ25」、「最もパワフルなアラブ人500人」、「最も影響力のあるイスラム教徒500人」に選ばれている。また、思想の自由のためのサハロフ賞の最終選考に残った3人のうちの1人である。
アブラエーシュ博士は、娘たちを偲び、カナダの慈善団体ドーターズ・フォー・ライフ財団を設立した。ドーターズ・フォー・ライフ財団は、若い女性に高等教育を受ける機会を提供し、強力な変革の担い手となることを目的としている。現在はトロントに在住し、トロント大学ダラ・ラナ公衆衛生大学院の教授を務めている。